ろきんの予備試験日記

税理士有資格者が調子に乗って司法試験を目指すブログです。

2. 税理士有資格者としての1年間

明けましておめでとうございます。

思えばこの一年間で、税理士試験の官報合格、BIG4税理士法人への就職、結婚と人生が大きく変貌しました。 今更試験のことを語るのはもはや寒々しいので、 「仕事」について振り返ってみようと思います。 日々の業務から得た経験を帰納したいと考えながら、忙しさにかまけているうちに一年が立たんとしている。 失った寿命期間の長さに比して得たものゝ少なさを憂うばかりですが、 これを糧に今年も頑張っていきたいです。

1. 業務内容
業務内容は①コンプライアンス(申告)業務が中心となります。 具体的には、決算が締まったところで試算表・主要な元帳・消費税の区分表をもらい、 調整項目や税額控除の適否を判断しつつ申告書を作成していきます。

会社の経理能力や論点の多寡によってかかる手間が段違いですが、仕事の忙しさは大体この業務のせいです。

中小会計事務所ではこの前段階として「記帳代行」を行っているようです。 これは会社が自社で決算書作成までの経理を行う能力がないため、仕訳帳への入力から代わりに行ってあげるものです。

受験生時代の知人は「記帳代行がやりたくないから大きめの事務所に行くんだ」と息巻いていました。

僕は、いずれ独立などするのであれば、記帳代行は経験しておかねばならないのかなと考えています。 しかし、入力作業は付加価値の高い業務ではないし、効率を考えれば会社にやらせてそれをチェックするのが一番ですよね。そこで某団体も「自計化」を促進しているのでしょうか。

次に②コンサルティング。 基本的に組織再編絡みの税務アドバイスを行うものです。 その基礎として株価評価を行いますが、その際に意外と相続税法(厳密には財産評価基本通達)の知識が活きてきます。

今のところ僕が一番仕事をアサインされ、かつ楽しいと感じているのはこの分野です。 法務分野で弁護士法人と連携したり、そもそも税務政策ではなく「事業として」組織再編をどのように捉えるかという視点も必要であったり、 単なる税務申告にとどまらない拡がりを感ずることができるのです。

また下っ端の僕から見えている範囲で「稼げる」のはこのコンサルティングかなと思っています。 会社の意思決定に斬り込んでいく醍醐味もあるのではないでしょうか。

そして③相続税。相続案件をたくさん経験したいものゝ、残念ながら案件の受注自体が少ないです。 基本的には相続・事業承継コンサルという形で②に包摂された業務にとどまっています。

僕は相続を機に四年前この業界を志したので、この分野への思い入れはかなり強いです。 いずれ相続専門の法人への転職もありかなとは考えていますが、専門性については後述。

④国際税務はBIG4の強みですから当然に深く関わるものと思っていましたが、配属された部署の関係で外資系企業などの担当は0。 もし機会があれば移転価格なんかもやってみたいとは思っていますが、 法人の国際税務は殆どやれそうにないです。

反面資産家などの国際税務は他のアソシエイトよりも多めに担当させてもらえました。 国外財産調書の絡みもあって国外所得分の修正申告が多かったです。 引き続き色々な案件を経験していきたいところです。

⑤その他として、税務デューデリジェンスなどに参加しましたが、当時は何もできることがなく雑務を行ったのみです。一昔前はDDで稼いでいたところ、今は随分減ったらしく降ってくる機会は少ないかもしれませんが、いずれDDをこなしてみたい。

一年間で上記業務の上澄みだけを経験しました。 まだまだ薄っぺらいです。 なんだかんだいって①のコンプライアンス業務が基礎だからしっかりやりなさい、と諸先輩がおっしゃっるので、 それに従って次の一年間も基礎力をつけていきたいです。

2. 成果物の完成度
無形のサービス提供をしている我々は、有形物よりも高度なものを創り出していると自負すべきだが、 だからといって成果物の見栄えを疎かにしてはならない。 そう注意されました。 ホチキスの留め方からはじまって、パワーポイントの体裁など、一見些細な外面をきちんと意識しながら仕事をしていかないと、 いつまでも身に付かないまま昇格してしまうぞ、と。

どんなに優れたサービスも、容れ物に瑕があってはならないという意識を持ち続けたいものです。

3. プロ意識
プロフェッショナルとは何かという陳腐な問いは嫌いですが、 税理士は顧客にとってプロでなければならない。

お金のため、成長のため、というのもモチベーションとして何ら悪いことではないと思いますが、顧客のためを思って仕事をしなければどこかでつまづいてしまいそうです。 クライアントからすれば一年目の新人もプロであり専門家でありそのサービスに対価を支払っているので、多少の割引をしてくれるとしても一定の期待をされているのは確かです。 その期待をどれだけ超えられるか。 この意識を失くしてしまったら終わりだと肝に銘じます。

4. 勉強
業務自体があまりに忙しいと、勉強が疎かになります。 個々の具体的な業務に関して知識を備付けていなければならないのは当然として、抽象的な知識も吸収し続けねばならないとも思います。 周りには優秀な先輩しかおらず、時に不安に襲われますが、後者の勉強をやめてしまっている(ように見えるだけかもしれないが)人もいます。 それでも経験に基づいて僕なんぞには想像のつかない結論へたどり着くのだから尊敬しますが、 経験論ばかりでは見識が固定化してしまうリスクもあるようです。

条文をきちんと引かない人もいます。各自に六法が貸与され、いざとなれば引ける人しか在籍していませんが、面倒くさがって概説書で済ましてしまう人も少なくないのです。 条文を読む心がけをしたところで仕事ができるようになるほど甘くないのですけど、でも当然やらねばならないことではないでしょうか。

5. 効率
アソシエイトが作成した資料や申告書は、上位職階の方々のレビューを受けます。 できるだけ早くレビューに回すのが大切ですが、修正点が多いようでは結果としてコストがかさみます。 たとえばざっくりの主観として、マネージャーの一時間は我々の三時間くらいの(+永遠に産み出せないほどの)価値があると思うので、その生産性を阻害してはならない。 上位職階の方々の生産効率を最大化できるアソシエイトとなるべし。 そのためにも単純なタスク遂行能力が必要であり、更にタスク管理及びスケジュール管理能力が欠かせません。 同時にいくつものタスクを回し、納期に余裕のあるところでレビューをしてもらい、少ない修正点・改善点を直す。 今年の目標はこれを実現することです。 また、これが存分にできれば次の職階も遠くはないのではないかとほのかに推量しているところです。

6. 専門性
これだけ税理士が溢れている時代にプロフェッショナルとして生きるからには、専門分野がなければ埋もれてしまうわけです。 ただし、専門分野というのは僕が考えていた程短絡的ではないようです。 優秀な専門家は誰しもどこかに特化していますが、どうして特化したのかを訊くと、 多くの方が「自然とその業務が多かったから」とおっしゃります。

もちろん、希望を触れ回って容れられたためその業務が増えたというのもありましょうが、 なかなか希望する分野の案件を担当させてもらえず、流されるまゝに今の場所にたどりついた、という場合もあるようです。

とはいえ二年目なので、特化も何もまだないです。 三年やれば少しはビジョンが見えるかなぁ。

7. 価値観
僕は「正義」のために働きたい。 それは納税者や課税庁といった対立項よりも高い次元に煌々と輝く絶対価値です。 難点は、何が正義か、全く分かっていないことでしょう笑

最後に恥ずかしいことを書きました。 まだ自分にできないことが見えていないもんだから、色々と青臭い希望を抱いています。 少なくともこの年齢になってようやく自分の人生の向きが定まったことが嬉しいのです。

これからの一年が昨年よりも実り多いものになるよう、努力して参ります。